本の紹介
- 本の名前
-
喫茶おじさん
- 著者名
- 出版年
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2023年
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あらすじ
松尾純一郎、57歳。
大手ゼネコンを早期退職し、退職金を元手に念願の喫茶店を開業するも、半年で閉店に追い込まれます。
無職となり、妻とは別居、娘とも疎遠。
ひとりで過ごせる自由な時間、純一郎はふとしたきっかけで喫茶店巡りを始めます。
東銀座、新橋、学芸大学、池袋、京都など、
各地の喫茶店を訪れ、コーヒーや軽食を楽しみながら、自身の過去や人間関係を振り返る日々。
物語では、
妻に「あなたって本当に何もわかってないのね」
娘に「お父さんって、本当に何もわかってない」
前妻に「あなたは相変わらず、何もわかっていない人なんですねえ」
友人に「お前は本当に、何もわかってないんだなあ」
と純一郎に対して繰り返し痛い指摘が。
何がわかってないのかいまいちわからず、
「俺、そんなに悪い父親でも、夫でもないと思うんだけどなあ」と困惑。
喫茶店巡りを通じて自分を見つめ直し、人生の再出発を図る姿を描いています。
本文の引用
- 「こうして人生の時間を潰す、というのも喫茶店の大切な役割だ、と思う。」
- 「人生もコーヒーも、苦いけれどうまい。」
感想
このお父さんすごい好きでした。
応援したくなる人。
私は父に冷たくなるとか口きかないとかがなかったし、両親は仲良くやってると思うから、
読んでてこのお父さんにちょっと同情するところが多かったかな。
確かに「わかってない」というか、あと一歩、あと一言足りないというか、
そういうところはありました。
でもその、あと一歩、あと一言、のような何かしらの “欠け” なんて、誰でもあること。
絶対直さないといけないかと言われたらそうでもないようなこと。
ただ、それを認知しておくことは大切な気がします。
このお父さんもみんなに痛い指摘をされて戸惑ってたけど、
彼なりのペースで自分と向き合い、至らないところを反省して、前に進んでたと思います。
この本に出てくる喫茶店は、どうやらモデルになった店があるようで、私は関東住みではないので聖地巡礼は厳しいですが、喫茶店巡りはしたくなりました。
カフェじゃなくて純喫茶。
コーヒーはもちろん、あんバターサンド、クリームソーダ、プリンアラモード、卵サンド、ナポリタン、、
出てくる食べ物は、喫茶店といえば なものばかりで誰もが知ってるメニューなんですが、やっぱりどれもおいしそうで。
それにしてもこのお父さん、2軒、3軒回ってよく食べるしよく飲む(笑)
私も結構コーヒー飲むんですが、家でインスタントが多いので、たまには純喫茶のコーヒーをじっくり飲みたいなあと思いました。
そのときは、このお父さんのことを思い出しながら、
コーヒーの濃さとか酸味、苦味とかをゆっくり味わいながら過ごしたいです。
バカ舌だから、細かな違いには気づけないんだろうけど(笑)
それと、このお父さんみたいに、
チェーン店には出せないその店ならではの雰囲気とか、椅子やテーブル、カップ、メニューなんかも、気にして見てみようと思います。
(この本の)お父さん、これからもがんばって〜!👏🏻
著者の紹介
- 1970年神奈川県生まれ
- 大学では日本文学を専攻し、卒業後に秘書としての勤務経験がある
- 「リトルプリンセス2号」で第34回NHK創作ラジオドラマ大賞を受賞
- 「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞を受賞し、小説家としてデビュー
- 料理や日常の小さな出来事を通じて、人々の心の機微を描く作風が魅力
- まずはこれ食べて
この本をおすすめしたい人
- 喫茶店やコーヒーが好きな人
- 自分を不器用だと感じている人
- 人生の転機や再出発を考えている人
- 人間関係に悩んでいる人
最後まで読んでいただきありがとうございました。